今回の森歩きで幾度となく出会った朴の木の落ち葉。この季節以外では、決して遭遇することのない朴の葉が辺り一面に散乱する風景。その度に、思い出した詩がある。
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「落葉」
山路を歩いてゆくと
今落ちたばかりの
黄色い朴の葉が五六枚
支那沓のやうに反り返って
道に散乱して居た
あゝこの艶な色の目覚ましさ
まるで誰か貴い人達が
沓をぬぎ捨て
素足で去った
夢のシインのあとのような静かさ
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私が好きな本「街と山のあいだ」の1ページに紹介されていたこの詩。散り敷く朴の葉を貴い人が脱ぎ捨てた沓(くつ)に喩えた詩であり、はじめてこの詩を目にした時にどれだけ想像力を掻き立てられたことか。
また、その詩について「街と山のあいだ」の著者である若菜晃子さんの文章がじわりじわりと心に染みわたっていく。
そんなシーンを何度も味わえた「朴の葉」日和でもあり、朴の葉に出会う度に「静かさ」がやってくる。
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