ヨガ哲学/5コーシャ(鞘・サヤ)

前回、”人の「真んなか」にあるものとは?”という記事を書き、山歩きやヨガでわたしが感じていたものの正体についてお話しました。そこでは、私の「真んなか」にあるものは”喜び”という純粋なものが存在しており、そのことがわたしをわたしでいさせてくれていると書きました。はじめはその感情が何なのかわかりませんでしたが、突きつめていった先に残ったのがこの”喜び”でした。

ヨガ哲学を学んでいく中で、特になるほど!と感じた教えがあります。その一つが「5コーシャ(鞘・サヤ)」という考えです。5コーシャについての詳しい解説は、以下リンク先に大変詳しく書かれているので省きますが、私たちは5つの鞘・サヤから成り立っており、その中心にあるものが”喜び=歓喜”であるという教えになります。

鞘の仕組みをみてみると、上のイラストのようになります。

外側から順に

A アンナマヤコーシャ(食物鞘)…食べたものによって作られた層

B プラーナマヤコーシャ(生気鞘)…体の中のエネルギーを体の外へと出す器官(呼吸など)
C マノーマヤコーシャ(意思鞘)…外からの情報によって動く思考や感情の層

D ヴィヤーナマヤコーシャ(理知鞘)…物事の心理をみぬくことのできる知性の層

E アーナンダマヤコーシャ(歓喜鞘)…私たちの本質を取り囲む層であり、純粋な喜びに満ちている


歓喜鞘の中心(☆)にあるものが私たちの本質であり、これらのいくつもの層に覆われている為、普段はなかなかはっきりと見ることができませんが、必ず存在しているもの。この本質をしっかりと見ることができるように、日頃から意識してA~Eを整えておくことが大切なのだなと思います。ちなみに、Aの食物鞘を整えるのはヨガでいう「アーサナ」や食事を柱とするアーユルヴェーダの考えです。


ストレスを感じた時に乱れやすい順番としては、C(意思鞘)→B(生気鞘)→A(食物鞘)→阿(理知鞘)→E(歓喜鞘)となっています。例えば、何か不快な出来事が起こると、イライラし(意思鞘)、疲れやすく・やる気が起きなくなり(生気鞘)、やがて身体に不調が現れる(食物鞘)。そして、物事をしっかりと判断する知性が鈍り(理知鞘)、やがて何をしても楽しくない、喜びを感じなくなる(歓喜鞘)といった具合です。


何だか思い当たることもあり、腑に落ちる。これとは逆に、純粋な喜びや幸せで歓喜鞘が満たされていると、その他の4つの鞘へとそれが広がり、心もエネルギーもそして身体も本来の健康な状態へと至るといいいます。


こうした話を聞くと、改めて、常日頃から「自分にとっての喜びとは?」という問いを自分自身に投げかけるように意識していこうと感じました。私とは何者か?といった壮大な問いに答えを見つけようとはあまり思わないけれど、この鞘のように、喜びの先に「私がわたしである」本質が存在するのであれば、今はその喜びに満たされてみたいと思います。





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